「18才」連載第9回 吉澤ひとみ(モーニング娘。)「フットサルがなかったら、みんなにとけ込めなかったかもしれない」


アーティストが18才のころ、考えていたことや置かれていた状況とは? さまざまなアーティストをゲストに迎え、思い出を語ってもらう連載「18才」。第9回目のゲストは、2007年1月2日、新年恒例のHello!Project公演のステージで突然、今春モーニング娘。を卒業することを発表した吉澤ひとみ。14才で加入し(加入後すぐ15才に)、常にモーニング娘。の中心で輝いてきた彼女は、2007年現在モーニング娘。のリーダーにして、ハロプロHello!Project)のメンバーで構成されるフットサルチームのリーダーでもある。そんな吉澤が過ごした「18才」。そして“モーニング娘。”とは。

「18、19才って大人と子どもの間で、いちばん楽しい時期」
「18才でいきなり考え方が老けました(笑)。それまで勢いを大事にしていたのが、構えるということを覚えましたね。18才ってちょうどフットサルのキャプテンになった年で、フットサルがなかったら、こんなにハロプロにとけ込めなかったかもしれないと思います」

 フットサルのキャプテンになって、“自分はこう思っている”という気持ちを伝えることができるようになったとか。それまでの吉澤は“思いを伝える”ことをシャットアウトしていたという。

「スポーツを通して気持ちを素直に伝えることができるようになって、それがモーニング娘。にも生かせるようになったんですね。それまでの私は、メンバーが固まっているのを遠くから見ているタイプで、自分から近づいたりはしなくて。だけどキャプテンを経てリーダーになったことで、メンバーひとりひとりを改めてよく見るようになりました。“今、どんなことを考えているかな?”って。自分から混ざっていくようになりましたね」

 “いつかはリーダーをやるかもしれない”などという予想をまったくしていなかったという彼女だったが、“任されたからには自分なりのリーダーをやろう”と持ち前のガッツと責任感の強さを見せた。モーニング娘。のリーダー着任は20才のときだった。これを機に彼女の生活はガラリと変わった。

「18才のときは年齢のことなんて気にしてなかったんです。18、19才って大人と子どもの間で、いちばん都合良く好きにできる時期でしたね。自由っていう意味でも、いちばん楽しい時期。でも20才を過ぎるとやけに年齢って気になりますね。20代は早く過ぎるよってよくいいますけど、それが本当だったってことを初めて知りましたから。10代のころは大人の意見には反発したり聞き流したりしてたんですけど、20代になってからは大人の意見を聞くようになりました。親のいうことも、本当でしたね。20才で気がついたことですけど(笑)」

「精神的な強さ、乗り越える力、考え方、協調性……。いい意味できたえられた」
 彼女がモーニング娘。として過ごした時間は7年。実は、歴代モーニング娘。のメンバーのなかで最も長い期間在籍していたことになる。

「いい青春時代でしたね。ずっと青春ですけど、モーニング娘。でいた時間も本当にいい時間でした。いい意味できたえられましたね。普通は逃げ出しちゃうようなことも、逃げ出さずにやり遂げなければならないっていう精神的な強さも出たし、日々の失敗や人間関係を通して、困難を乗り越えることやいろんな考え方も学べた時間でした。やっぱりいろんな人がいる特殊な社会のなかで、協調性も持てたし。でも今は卒業のことよりも、この瞬間のモーニング娘。9人の味をどれだけ出すかってことばかり考えてます。新メンバーにも、今後のモーニング娘。を背負っていくうえでのことをきっちり教えていきたいですね」

 2月14日に発売になったシングル『笑顔YESヌード』以降も5月の卒業まで、現在の9人での楽曲のリリースが控えるだけに、まだまだ先のことよりもモーニング娘。として5月6日のラストステージまでを精一杯にやっていくことを大切にしたいのだ、と話す彼女。
 
「これまでにもたくさんの卒業の場面を体験してきたんですけど、今までの作品を聴くと、そのときそのときのメンバーにしか出せない味が詰まってるんですよね。鍋でいうと、その瞬間の具(メンバー)でなければ出せないハーモニーや色彩がある。だから『笑顔YESヌード』も、3月に出るアルバム『SEXY 8 BEAT』も、今の9人の声でしか聴けない楽曲ばかりなので、十分にそれを耳で楽しんで、最後のコンサートに来てもらいたいです。アルバムの曲はハッピーソングがすごく多いので、コンサートでも盛り上がると思うんですよね。私にとってモーニング娘。としてのラストとなるツアーのステージでは、客席にダイブしたいくらいの気持ちで頑張るつもりなので、みなさんにもぜひ楽しんでもらいたいと思います!」